即断即決、「機を見るに敏」な台湾板金業界
3次元CADを使った製品開発で業績を拡大
来年末には自動化満載の新工場完成
淇鋒企業 股份有限公司
3 次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した操作端末の筐体の3次元モデル(左)/
SheetWorksで作成した3 次元モデルをもとに、同社で製作した操作端末の筐体(右)
23年前に27歳で創業
淇鋒企業の資料を見ると大きく「ODM/OEM設計開発」と書かれている。ODMとは、Original DesignManufacturingの略で、委託者のブランドで製品の設計から製品開発までを受託者が行うビジネスモデルであり、パソコン業界や携帯電話業界で幅広く採用されている。OEMはOriginal Equipment Manufacturingの略で、委託者のブランドで製品を生産することを指している。
1991年7月、当時27歳だった蔡金中総経理は、もう1人の仲間と会社設立を計画、社員を含め4名で創業した。開業する前は6年間プレス工場で、その後2年間は板金工場で働き、技術を覚えた。資金は限られていたので、アマダローン(提携の銀行ローン)でベンディングマシンRG-50/80、コーナーシャー、スポット溶接機を導入した。当時はPC関連産業が好調で、板金加工の仕事が多くあり、4名の企業では納期に追われ、残業の連続で仕事をこなしていった。
このままでは対応しきれないと考え、蔡総経理は設備や従業員を徐々に増やしていった。同社はさらに、CO2溶接機と8トン・15トンのプレスを導入、1994年にはパンチングマシンPEGA-357を導入するとともに、200坪の借地に工場を建設した。1997年には借地を290坪に拡張、工場も2階部を増築、床面積は200坪となった。1998年にはレーザマシンLCV-3015βを導入した。
この頃から蔡総経理は、医療機器、美容整形関連機器や自動サービス機分野の仕事を開拓していきたいと考えた。営業活動に力を注ぎ、美容整形関連、病院のベッド・棚、医療機器の各種コントローラなどを受注するようになって、計画どおり新しい分野の仕事へとシフトしていった。
忙しく仕事をこなしていく中、少人数でも納期対応ができるように、2004年に蔡総経理自身が3 次元CADSolidWorksを勉強、3次元設計を採り入れた設計提案を始めた。この頃からODM/OEMビジネスを積極的に展開。最近では空港の自動チェックイン機、地下鉄や高速鉄道向け自動改札機、医療機器、美容整形機器などを受注。同社は現在、蔡総経理を含めても20名という規模だが、高度で高付加価値なビジネスを展開している。
蔡金中総経理
今年は前年比20%アップの売上を見込む
現在も受注は好調で、今年の売上は前年比20%増を見込んでいる。仕事の分類は一般板金が20%、医療機器や美容整形機器は20%で横ばい。自動改札機や自動チェックイン機などの自動サービス機関連が30%、スマートフォン製造装置関連が30%で、この2業種が大きく伸びている。現在の得意先は約100社。大半が台湾企業だが、同社が製造に関わった製品は商社を介して米国や日本などへ輸出されている。
レーザマシンLC-3015F1NT(4kW)
取材-編集:Sheet Metal machinist co jp <3次元CADを使った製品開発で業績を拡大 > http://www.machinist.co.jp/2014/12/1431/