生産性改善に取り組む台湾板金業界
最新マシン導入を予測して大型先進工場を竣工
食品機械・自動サービス機械・医用検査装置などを設計提案で開拓
淇鋒企業 股份有限公司 (Chief Metal Industry)
①淇鋒企業股份有限公司が製作した無人店舗のコンビニエンスストア専用の自動ゲート/
②淇鋒企業股份有限公司の新工場の3次元モデル/③3次モデルから作成した板金の縮尺モデル
27歳で創業、27年目に先進工場を竣工
1991年6月、27歳だった蔡金中董事長は、共同経営者でもある陳世冠総経理を含めた社員4名で、ベンディングマシンRG-80/50、コーナーシャー、スポット溶接機などを設備し、淇鋒企業股份有限公司を創業した。
蔡董事長は開業前の6年間はプレス工場で、その後2年間は板金工場で働き、技術を覚えたという。
PC関連業界が好調だったことから、創業後の受注も順調で、納期に追われ、徹夜で仕事をこなすこともたびたびだった。しかし、特定の業種に特化すると不況への対応力がなくなると考え、新規の得意先開拓に注力していった。
材料棚を間に挟み、手前がパンチ・レーザ複合マシンLC- 2012C1NT、奥がレーザマシンLC-3015F1NT
蔡金中董事長
セット受注した医用検査装置の部材の多くはLC-C1NTで加工している
3次元CADを活用した設計提案
1994年、200坪の敷地に工場を建設し、パンチングマシンPEGA-357を導入した。1997年には敷地を290坪に拡張、工場も2階部分を増築し、延べ床面積は90坪となった。レーザマシンLCV-3015βを導入した1998年頃から医用検査装置、美容整形関連機器や自動サービス機分野の仕事を開拓し、新規分野の仕事を増やすことができた。
2004年には蔡董事長みずからが3次元CAD SolidWorksを学び、3次元設計を採り入れた設計提案営業を率先するようになった。新規分野を開拓するためには他社にはない特徴 ― セールスポイントがなければならない。発注元の図面どおりに製品を製作・納品するだけなら、価格競争になり同社の企業規模ではやっていけなくなると考えた。発注元の設計部門や商品企画部門から新製品の概要を聞き、3次元CADで板金設計を行い、試作して製造性を検証、発注元の承認を受けたのちに加工を行うビジネスモデルを考えた。また、董事長みずからが操作に精通すると、社員にSolidWorksの操作を指導していった。
「しかし、『2次元でできる仕事をなんで3次元でやらなければいけないんだ』と辞めていく社員もいました。それでも半年間、社員と一緒に勉強を続け、1年後には社内のCADがすべて3次元になりました。お客さまはスケッチや写真を持ってきて、こんなものをつくってほしいと要望を出すだけ。あとは当社がその要望や意匠を汲み、設計・加工図にして製造するという流れができあがりました」(蔡董事長)。
曲げ作業を行うHDS-1303NT HDS-1303NTで加工された部材
取材-編集:Sheet Metal machinist co jp <最新マシン導入を予測して大型先進工場を竣工 > http://www.machinist.co.jp/2018/09/9102/